日々の想い(41)「教会と幼稚園⑩~こどもと神の国~」

甲子園福音

2016年4月3日発行 107号

 

日々の想い(四一)「教会と幼稚園⑩~こどもと神の国~」

 

いよいよ四月となり、教会も幼稚園も新しい年度の歩みが始まりました。
わたしの園長としての歩みも二年目となりますが、この一年間、幼稚園で過ごしてみて、改めて感じさせられたことがあります。それは、自分のところに近づいて来るこどもを見て「神の国はこのような者たちのものである」と言われた、イエスの言葉の正しさです。

世界で初めて幼稚園を始めたとされるフレーベルもまた、こどもは大人よりも神様に近い、と語っています。彼もまた、このイエスの言葉の正しさを痛感していたのでしょう。ですから、そのような思いで、こどもたちの園生活を見ていると、感動させられることの連続です。幼稚園は神の国に近い、そう思えることもしばしばです。

毎年年度末になると、むこがわ幼稚園では「ホップ・ステップ・ジャンプ」という一年の締めくくりの発表会があります。各クラス、こどもと保育者がよく話し合って、それぞれの出し物が決まります。
昨年、あるクラスで演じられたのは、絵本『図書館ライオン』に基づくお話でした。
本来、動物が来てはいけない図書館に、ライオンがやって来ます。ライオンは、本とこどもたちが大好きで、お掃除も手伝います。図書館の係の人の中には気に食わない人もいましたが、館長も、そしてこどもたちも、図書館にライオンが来ることは大歓迎でした。
ただし、図書館の中で「走ってはいけない」、「大きな声を出してはいけない」、これはライオンも絶対やぶってはいけない規則でした。

ある日のこと、図書館の係の人が本を取ろうとして、はしごから落ちてしまいます。そして、その人が倒れているのを見つけたライオンは、規則をやぶってはいけないことを知りながらも、大きな声で助けを呼び、その人を抱えて図書館を走ります。そうやってライオンは、図書館の規則を破ってしまったのです。そしてライオンは、それを最後に図書館からその姿を消してしまうのです。

劇の最後にこどもたちがこう語ります。「図書館の規則は破ってはいけない。でも規則よりもっともっと大切なものがあるんだ。そしてライオンは、それを守ったんだ」
こどもたちが心を込めて語るそのせりふは、聖書の言葉と同じような重さを持って、わたしの心に深くしみいりました。

また、ある別のクラスの発表では、ディズニーさながらのミュージカル「アラジン」が演じられました。
こどもたちは大人顔負けに、歌って踊っての熱演でした。そんな中、いつも練習で、動き出したい自分の衝動を抑えられないA君がいました。
練習を重ねるごとに劇は完成に近づいて行きましたが、A君だけは劇に集中できません。A君がちゃんと演じることが出来るのか、それが見守る先生たちの不安でした。
しかし、そのような先生たちの心配は、見事稀有に終わりました。本番当日、A君は、本当に粘り強く自分の役を演じ切ったのです。
練習の時からA君につきっきりだったフリーの先生は、そのような彼の姿に思わず涙し、それを見たわたしも思わずもらい泣きしてしまいました。

こどもたちと共に過ごすことは、神の国を生きることです。
この一年もこどもたちと感動を分かち合いながら、歩みたいと思います。

 

(甲子園教会牧師・むこがわ幼稚園園長 佐藤成美)