日々の想い(42)「こどもと平和」

甲子園福音

2016年8月7日発行 111号

 

日々の想い(四二)「こどもと平和」

 

幼稚園で平和についてのお話をする時には、出来るだけ絵本を使うようにしています。ある日のお話で、谷川俊太郎さん文・江頭路子さん絵の『せんそうしない』を読んでみました。それは次のような内容の絵本です。

「ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない
きんぎょと きんぎょも せんそうしない
くじらと くじらは せんそうしない
すずめと かもめは せんそうしない
すみれと ひまわり せんそうしない
まつの き かしの き せんそうしない
こどもと こどもは せんそうしない
けんかは するけど せんそうしない
せんそうするのは おとなと おとな
じぶんの くにを まもる ため
じぶんの こども まもる ため
でも せんそうすれば ころされる
てきの こどもが ころされる
みかたの こどもも ころされる
ひとが ひとに ころされる
しぬより さきに ころされる
ごはんと ぱんは せんそうしない
わいんと にほんしゅ せんそうしない
うみと かわは せんそうしない
つきと ほしも せんそうしない」

この絵本を読んだとき、わたしには想像もできなかった反応がこどもたちに起こりました。「ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない…」、そうわたしが読み始めたとき、こどもたちはくすくす笑いだしたのです。そして「くじらと くじらは…、すずめと かもめは…」と読み進めて行くうちに、その笑い声はどんどんどんどん大きくなっていきました。

こどもたちはいったいどんな思いで、笑いはじめたのでしょうか。「ちょうちょとちょうちょは戦争しない、そんなの当たり前だよ」、そう思ったのでしょうか。

しかしそれまで笑っていたこどもたちの声がぴたりと止まった瞬間がありました。それはわたしが「せんそうするのは おとなと おとな…」と読みはじめたそのときのことでした。そして、それまでの笑い顔とはうって変わって、こどもたちは真剣な顔で、おとな同士が殺し合う、その詩のくだりを聞いていました。
きっとこどもたちのこころに、この詩の訴えが響いたのでしょう。

わたしがそのとき思ったことは、谷川俊太郎さんという詩人がどれほどこどもの心に近いところに立っている人かということと、こどもでも戦争の悲惨さ、平和の大切さをちゃんと理解できているのだ、ということでした。

ですからわたしたちおとなも、語ることをやめてはいけないのだと思います。平和の尊さ、戦争の悲惨さ、武器や基地を持つことの愚かさ、そのことを倦むことなく語り続ける者でありたいのです。
「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」       〈マタイによる福音書五章九節〉

 

(甲子園教会牧師・むこがわ幼稚園園長 佐藤成美)

 

 

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